Monday, May 25, 2009

商業に支配されるスポーツ

商業に支配されるスポーツ

 世界的不況を受け日本のチームであったHONDAは今季F1に参戦することはできなかった。FIA(国際自動車連盟)はこの不況がF1存続に与える影響は大きいと考え、来季からコスト削減策である※バジェットキャップ制を取り入れることを決めた。しかし、この制度を導入するならF1から撤退するというチームが続出し、その中にフェラーリも含まれる。フェラーリはこの制度導入の発言撤回を求め、モズレーFIA会長に抗議をしてきた。だが、モズレー会長はこの発言撤回を拒否し、よりいっそうフェラーリに敵意をむき出しにし、バジェットキャップ制の導入を推し進めようとしている。
F1世界選手権が開始された当時から継続して60年もの間参戦してきたのはフェラーリだけであり、F1の発展の貢献度は他のチームとは比べられないほど大きなものである。しかし、今回彼らの権威、影響力を持ってしてもモズレー会長を止めることはできないようだ。フェラーリはコスト削減策に対してマイナス思考であるわけでなく、今回の一方的なやり方に対して怒りを示している。フェラーリ側の意見はこうである。「コスト削減策が決議されたFIAの会議はもともと検討会であり、このような重要な案件がコンストラクターやチームの理解なしで決定したのはおかしい。」
このフェラーリの意見は正しいと感じた。フェラーリだけでなく来季の参戦に前向きでないチームも同じ考えではないかと考える。実際にマシンに乗ったり、レースを作ったりするのはドライバーやチームであるのだからルール変更をするのであれば彼らの同意は必須ではないだろうか。このような状況ではチームやドライバーに同情する人が多くいるかもしれない。しかし、そもそもF1自体が近年の環境問題や不況の流れとは全く反対の道を進んでいる点に疑問を感じ、世の中の風潮と逆を進むものであることを考えればこのコスト削減策を強行的に行うことで、それら矛盾点を考え直す機会にもなるのではないかと考える。
F1は、スポーツとビジネスが一体となっているきわめてまれな競技であり、そのマイナス面として数多くの事柄が政治的駆け引きに利用されてしまうことがある。私たちがどんな意見を言おうとも動かせる世界ではないかもしれない。スポーツマンシップを大事にするスポーツファンであればスポーツと商業の強い結びつきというのはできれば避けてほしいと願うかもしれないが、F1に限らず多額の資金があるからできるのがプロの世界である。しかし、スポーツに対して普段私たちが持っているイメージとは万人が参加し気軽にできるものではないだろうか。F1は最初からそのイメージとかけ離れたもので、資金がなければ始まらないスポーツである。F1は現代におけるスポーツと商業の強い結びつきを表す一つのシンボルとも言え、スポーツとビジネスとの関わり合いをどのように捉えるか考える上で一番わかりやすい世界であると感じた。ビジネスに支配されているスポーツをマイナスと捉えるだけでなくそれを一つの見方と捉えることでスポーツはもっと魅力的なものへと進化させることも可能ではないだろうか。このような種類のスポーツが存在することを知っておくことで新しいスポーツの捉え方ができると感じた。(MY)


※バジェットキャップ制…来季から導入しようとされている制度。マシン開発にかけられる費用を4000万ポンドに制限することでコストの削減を目指すもの。この制度を受けるチームは技術的な支援が受けられるメリットがある。受けないチームは技術的な支援が受けられないものの費用制限なくマシン開発することが許される。

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